標高差:1,320m
山形県西村山群朝日町大字立木
登り:4時間25分
下り:5時間30分(休息時間含む)
前日の移動
一切経山登頂後は高湯温泉で汗を流し、朝日鉱泉に移動する。 14kmの林道も3回目であり勝手知ったるものであるが、この林道の長さは何回通ってもうんざりしてしまう。
予定通り朝日鉱泉には明るい内に着くことが出来た。 ここの駐車場は10台も車を置けない狭さ、早い内に駐車スペースを確保したい思いだ。 ところが駐車場には車が1台しか止まっていなく拍子抜け。
ネットで見た通り朝日鉱泉の小屋前からは大朝日岳が遠く正面に見えた。明日の天気は良さそうなので三度目の正直を達成出来そうだ。
トータル:9時間55分 (休息時間含む)
深田久弥著の「日本百名山」から
その中で朝日が一番原始的な面影を残している。私が初めて朝日連峰を縦走したのは大正十五年(1926年)の昔だが、その頃はもちろん山小屋などなく、道さえ定かでない箇所もあった。
朝日登山の話をしても、そんな山はどこにあるのかという顔をされたものである。
Road Map :磐梯吾妻スカイラインを福島市側に出て長井市から朝日町に出て県道289号線から林道14kmを走る。
Route Map:朝日鉱泉をスタートして右回りに中ツル尾根から大朝日岳に登り、小朝日岳を経由して朝日鉱泉に戻る。
朝日鉱泉 |
旧鉱泉跡 |
御影森山分岐 |
二俣出合 |
4合目 長命水 |
6合目 |
9合目 |
大朝日岳 |
5:45 |
5:56 |
6:02 |
7:17 |
8:13 |
8:56 |
9:53 |
10:10 |
大朝日岳 |
大朝日小屋 |
銀玉水 |
小朝日岳 |
鳥原山 |
島原山小屋 |
金山沢出合 |
分岐点 |
朝日鉱泉 |
10:10 |
10:21 |
11:10 |
12:00 |
12:54 |
13:20 |
14:12 |
15:25 |
15:40 |
『日本百名山』 大朝日岳はこれまで2回、天候不順で断念しており3度目の正直となる。
”朝日鉱泉”から ”大朝日岳”の山頂が望める。 登山道は正面の
尾根を登り、見えていないが右の ”小朝日岳”に通じる。 三度目に
してやっと ”大朝日岳”を見ることが出来た。 さて、明日の天気は?
”朝日鉱泉”の小屋から沢に下って行き長い吊り橋を渡る。
ワイヤーのサイドはスカスカだし、橋板はよく揺れるし、
本当に怖いと思いながら渡った。
前日、”朝日鉱泉”の駐車場に着いた時には車は1台しか停まって
いなかったが、夜中から早朝に掛けて車はどんどん増えて、朝には
車で一杯になっていた。 駐車場に停められない車は林道の遥か
下の方まで続いていた。 流石に3連休である。
気温6℃、5時45分に駐車場を出発する。
朝日川沿いの道は緩やかな上り下りはあるが、ブナ林の穏やかな
道が続く。 何度も枝沢を渡る気持ちの良い道であった。
10分程で ”鳥原山”への分岐に着く。
まずは ”中ツル尾根”を登り ”小朝日岳”から下山して、この分岐に戻りたい。 万が一、体調が悪ければ”中ツル尾根”を戻る予定。
30分程歩き、2つ目の吊り橋を渡る。
この吊り橋も作りは同じで良く揺れた。
きのこ採りのじっちゃんを発見。 ここはきのこのメッカで沢山の
地元の人が山に入るらしい。 今は ”マイタケ”のシーズンらしい。
3つ目の吊り橋を渡る。
1時間28分に ”朝日鉱泉”から4kmの地点に着く。
この先に吊り橋があり、渡ると ”二俣出合”だった。
ここまで花らしい花は無かったが、沢に降りると
”ダイモンジソウ”が広く群生していた。
4つ目の吊り橋を渡る。 ここまでの吊り橋の作りはどれも同じで、
よく揺れるが少しずつ慣れてきた。でもワイヤー手摺りだけでは怖い。
1時間58分、”二俣出合”から3合目までは
見上げる急登が続いた。 たった26分で
標高190mを稼いだことになる。
尾根道は樹林ですっきりと展望の得られるところはないが、
木立ちの間からは左右の山々が望めた。
右手に ”小朝日岳”を見ながら進むことになる。
2時間28分で4合目 ”長命水”に着く。 湧き水は右へ下りて行く必要があるが、
どれくらい下りるのか判らないので行かず終いだった。
ここまで登って標高はまだ1,060mしかない。 残りの標高はまだ810mも残っている。
秋空を思わす ”すじ雲”が広がり、すっきりした天気ではないが、
雨さえ降らなければ贅沢は望まない。 でも、もっとすっきりと
晴れて欲しいなー。
”朝日鉱泉”から ”中ツル尾根”が見えていた様に、
”中ツル尾根”からも ”朝日鉱泉”が見えていた。
しかし、よくもこんなに遠くまで歩いて来たもんだ。
”中ツル尾根”は急登が続くがブナ林の雰囲気の良い道で、
体力は消耗するが気分良く歩けた。
ネットできついと書かれている ”小朝日岳”の登り返しを見る。
想像よりきつそうな登り返しで、登り返しと言うより一山登る感じ。
登り勾配がきついので山頂がどんどん近付いて来る。
3時間11分で6合目、1,369mのピークに着く。 ここを越えるとやっと
”大朝日岳”の山頂を拝める様になった。 尾根筋の登りはまだまだ続く。
下りに使う予定の ”小朝日岳〜鳥原山”の尾根筋を見る。
今日は体調も良ろしい様なので是非 ”小朝日岳”には登ってみたい。
3時間30分で ”7合目”に着く。
この辺りから紅葉が山を染める様になってきた。
やっと南面に明日登る予定の ”祝瓶山”を見ることが出来た。
さすが ”東北のマッターホルン”と言われるだけの険しい山容をしている。
この後、山頂はガスで覆われ、これが最初で最後の ”祝瓶山”となった。
真夏から見ている気がする
”マツムシソウ”がここにも
点々と咲いていた。
”9合目”を過ぎると山頂は目の前であった。 後は真っ直ぐな道を登り詰めるだけ。
点々と散りばめられた紅葉が綺麗だ。 山頂に着けばゆっくりと休憩するぞーと思っていたが。
上から降りて来た人は岡山からのハイカーで ”朝日鉱泉”を5時に
出発したらしい。 何故、”小朝日岳”に行かないのか聞いて見ると、
”あっちはきついから” と言われていた。
4時間25分にて ”大朝日岳”(1,870m)に着く。 山頂の気温は
6℃、誰もが防寒服を着ているがTシャツのバカが一人居る。
360°の大展望ではあるが、霞んでいる上に見える山々が遠いので
絶景とは思えない。 人が多いので一通り景観を見て直ぐに下山する。
ためらわず ”小朝日岳”側に下山する。 下山途中から山頂を
見ると多くのハイカーが群がっていた。 俺はあの小集団の中には
居られなかった。
山頂から10分程で ”大朝日小屋”に着く。
避難小屋ではあるがシーズン中は管理人が居るらしい。
小屋は2階建てであるが混んだ時用のロフトがあるらしい。
小屋の中を見ると通常の避難小屋とは違い、生活臭がしている。
既に陣取っている人も居る様だ。 今日から3連休、小屋は泊り
客で混雑するものと思われるが北アルプスはもっと凄いことに
なっているんだろうなぁー。
サプライズな出会い
小屋の前のベンチで昼飯でも食おうとじっちゃん(実は59歳)の横で
おにぎりを食べていると古寺鉱泉側から登って来た大柄な人が目の前に立って無言でこっちの顔を見ている。 シャッターでも押せと言いたい感じであるが、こちらの手は飯粒でべとべとなのでシャッターを押しましょかとも言えない。
しばらくして「百名山のHPを出している人ですよね!」ときた。 顔をじっくり確認していた様だ。 約束していても会えない山中でよくぞ見付けてくれたと感謝する。
私が塩見岳に登っている日に聖岳に行ったらしくニアミスで悔しい思いをしてくれたらしい。 相手はこちらの行動パターンを判っている様だが、こちらは相手のことを何も知らない。
話しをどう切り出したら良いのかおろおろするばかり。 しかし、HP開設以来300山以上は登っているが、こうして声を掛けてくれたのは初めての経験だ。
内心、嬉しかった! 俺と現任出来たのはヒゲ、メガネ、頭のタオル巻きらしく、今日は薄曇で帽子を被らなかったのが幸いした様だ。
”小朝日岳”と縦走尾根道を見る。 登り下りはあるものの展望良く気分良く歩けた。
山頂から1時間、途中休憩したので実際は30分程で ”銀玉水”に
着く。 中ツル尾根よりこちらの道の方が随分整備されている。
多くのハイカーが大きなザックで登って行く。 ほとんどが泊まりの
人の様だ。 この広場から左に少し降りると ”銀玉水”が湧いている。
”絶対に飲むべし”の ”銀玉水”であるが、下水管の様なところ
からちょろちょろと流れていた。 一応、試飲してみるが飯豊山の
湧き水の方が冷たくてもっと美味しかった。 これは気温の影響かも
しれないので季節で味の感じ方は変わるかも知れない。
振り返るといい感じで ”中ツル尾根”、”大朝日岳”、縦走路の紅葉が見えていた。
この時間でも登りのハイカーが多いのは3連休を利用して泊るつもりなのだろうが、
小屋はどんな状態になるんだろう。 見てみたい思いだ。
岩壁に ”スフィンクス岩”が見えた。
”ライオン岩”でも良い感じがするが、顔に見えますよね。
聖岳の”ガメゴン岩”以来の大発見(?)
最鞍部まで下り ”小朝日岳”への登りが始まる。 標高差は97mで
あるが急登なので堪える。 登り始めに ”古寺鉱泉”への分岐があるので間違わない様に注意を要する。
”中ツル尾根”から見た時はきつそうな登りに見えたが20分
足らずで ”小朝日岳”に着く。 振返る景観は抜群だし、
東面には遠くに ”月山”が見えていた。
下山1時間50分で ”小朝日岳”(1,647m)に着く。
ここで大休止しようと決めていたが、どこかの親父が山頂標識の
前にザックを置いておりムカッと来る。 ”写真を撮りたいので
除けて貰えますか”と言いたかったが言えなかった。
ムカついたので休憩無しで下山を続ける。
”避難小屋”で会って追い付いた著名そうに見える3人のハイカー。
話しはしなかったので実態は不明。 ただのおっさんかも知れない。
”リンドウ”が咲いていたというだけ。
”小朝日岳”から ”月山”(右)を見るが遠過ぎて絵にならない、この辺がアルプスとの違いか。
山頂で幸せそうに熟睡している目障りなあんちゃんが居た。 寝過ぎて下山に遅れない様に。
2時間44分で ”鳥原山”(1,430m)に着く。 目の前に聳えるのが ”小朝日岳”、
遠くには ”大朝日岳”、絶対に周回した方が良いと感じた瞬間です。
下山する人はほどんど居ないのでここまで来ると静かな山域となる。
3時間06分にて ”古寺鉱泉分岐”に着く。
”古寺鉱泉”側への道は2ヶ所あるようだ。
分岐周辺は湿地帯になっており池塘が点在している。
花は終わっているが枯れていく黄葉も綺麗なものだった。
木道で整備された穏やかな道が続く。 まだ登ってくるグループが
居たので ”小屋は混む様ですよ”と脅かしを入れると、がっかり
されていたが、紅葉期の3連休は常識で考えても混むだろう。
盆栽を嗜んでいる関係でこんな樹形を見ると見入ってしまう。
30年、こんな樹形を目指しているが、未だに出来ていない。
3時間で ”鳥原小屋”の横を通る。
”鳥原小屋”は丘の上にあり、往復が必要だったので行かなかった。
この周辺にも池塘があり綺麗な風景が広がっていた。
4時間21分にて標高993mまで下りてくる。
この当りは ”千枚峰”と呼ばれているらしい。
4時間55分にて標高800mまで下りてくる。
この辺りのブナ林は極端な大木こそないが、
心が癒される感じがする明るい緑が一杯だった。
5時間15分にて分岐点に戻る。 登り時は飲まなかった”弘法水”を
飲んでみると有名な ”銀玉水”より冷たく、美味しく感じた。
小さな変わった花。花名は暇な時に調べて見ます。
後日 ”ミゾソバの蕾”だと言うのが判った。
1時間32分にて、吊り橋を渡ると2つの沢が出合う、”二俣出合”に
着く。 ここまで1時間半歩いてまだ2合目、標高はたった110m
稼いだだけだ。 この後の急登が予想出来る。 これからの急登に備えて
胃袋にエネルゲンを注入しておく。
左の人が59歳、右の人が54歳だったかな?。 見た目が老けているの
を自覚していて山形の60歳以上は百円の温泉を顔パスで渡り歩いているらしい。 右の人は百名山走破を目指しており現在54山が済んでいるとか。
金山沢出合:気持ちの良い尾根道から下って行くと沢に出て登り返す。
沢の部分が ”金山沢出合”の様だった。
最後の下り:地図には真っ直ぐなラインで書かれているが実際は急斜面を
ジグザクに下りて行くので3〜4倍長い距離になっていた。
今日の温泉
'03年に雨で敗退した時も、今年8月に同じく雨で敗退した時も下山後は朝日町の ”りんご温泉”に入ろうと決めていた。理由は温泉の名前に引かれたのと値段が300円と安いからだ。温泉は泉質が兵庫県の養父温泉に似ておりアルカリ性の湯で肌がつるつるになる。
湯舟にはリンゴが10ヶ程浮かべてあった。 2階の食堂からは夕焼けの朝日岳を見ることが出来たが、千円のトンカツ定食は美味くなかった。
祝瓶山登山口に移動する
大朝日岳からも縦走で行ける祝瓶山なのに登山口は長井の町まで出て大きく遠回りする必要がある。 おまけに長井市内で道に迷い、林道は朝日鉱泉の林道より長く、明るい内に登山口に入るつもりがすっかり暗くなってしまった。
10/05 |
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10/06 |
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10/07 |
一切経山 |
⇒ |
大朝日岳 |
⇒ |
祝瓶山 |
2007年度の東北の山遠征
だいあさひだけ
レストランも併設されている ”りんご温泉”
入浴料が安いのが魅力的。
赤ペンキのマークキングを追って渡渉する。
周辺には ”ダイモンジソウ”が群生していた。
よく揺れるので、渡る途中でカメラを出すと
落としてしまわないかと緊張してしまう。
3つ目の吊り橋もこれまでの吊橋と同じ作りでよく揺れた。
登山道ではあるが渓流ファンにも堪らない場所だと思う。
この白花の ”ダイモンジソウ”が赤花だったら
どんなに綺麗かと思ってしまう。
初めて出て来た木製橋を渡る。
4時間08分、この上のピークが ”9合目”(1,760m)となる。
下山路に使う予定の ”大朝日岳”〜”小朝日岳”の尾根筋を見る。
ここからは ”大朝日岳”も ”小朝日岳”も見えていない。
大展望だった尾根筋から樹林帯である湿地に下って行く。
山形県まで来ること3回目で ”大朝日岳”へのリベンジが達成出来た。
周回すると1時間は余分に掛かり、全工程9時間55分を要した。
行程は長いながら沢、尾根、湿原、池塘と変化が多く飽きない山であった。 これで東北の百名山を終えることが出来たが、雨の中に登った
”八甲田山”、”早池峰山”はいつの日か登り直しのリベンジをする
予定ではある。
15時40分に ”朝日鉱泉”に帰り着く。
2023年10月11日改定